アメリカの教育熱心な家庭がボードゲームを行う理由とは…

 アメリカではAmazonが普及した時に、多くの本屋さんが閉店しました。

 しかし、最近では再び本屋さんが復活してきました。アッパーミドル層以上を顧客ターゲットとしており、その本屋さんではボードゲームコーナーが充実してます。

 実際、アメリカでビジネスしていると、ビジネスで成功している方の家に行ったとき、子供たちにボードゲームをさせている家が多いことに気づきます。

 ボードゲームは、教育に対してどういった効果があるのでしょうか。

◇幼児教育におけるボードゲームの有効性

 全米幼児教育協会:naeyc(National Association for the Education of Young Children)の専門能力開発のシニアディレクターであるピーター・J・ピッツォロンゴ(Peter J. Pizzolongo)は、ボードゲームの効果を次のように語ってます。


 「未就学児にとっては、ルールに従い、集中力を鍛え、テレビゲームと異なり、ゲーム参加者との交代でのプレイを常に経験することにより、他の人のペースに合わせなければならない事と、それに伴う自らのプレイをすることの満足感を遅らせるという感情のコントロールや思考の制御方法を、楽しみながら自然に学べる良い方法です。ボードゲームは、問題解決能力と創造的思考の基礎となる、自己規制すに役立ちます」


 幼児期は、まだまだわがままで、自分の気持ちを抑えきれないものです。その段階で、楽しみながら、ルールに従うことを覚えたり、我慢することを覚えたりすることは、社会で生活していくための能力を養うためには、有益な遊びであると考えられてます。

 

 更に、我慢することがまだまだ難しい幼児期には、テレビゲームが中毒性のある遊びとなりがちですが、そこからスムーズに引き離す手段としても、ボードゲームを評価してます。


 それだけでなく、自分の順番でプレイする時の「意思決定」(どのような選択を決断するのか)と、それに伴う結果(周囲の現状との比較)を把握することで、優位な状況へもっていくにはどうしたらいいのかといった戦略的思考力も、自然に身に付く遊びとして、アメリカでは評価されてます。



◇想像力だけでなく高度な数学知識も必要

 幼児期だけではなく、中学高校という段階でも、ボードゲームが教育に取り入れられてます。

 ひとつ前の記事でも紹介しましたが、STEM教育に従事する学生(中学生・高校生)の全米組織「TSA」の競技大会の種目にも、ボードゲームが採用されてます。

 STEM教育を中心とした全米大会ですので、テレビゲームの種目があることは理解できますが、ボードゲームの種目があることに驚きです。

TSAに関する記事はこちら↓

 ボードゲーム競技の課題は、選択したテーマに焦点を当てたボードゲームを開発し、構築して、パッケージ化します。

 ゲームは面白く、刺激的で、視覚的に魅力的で、挑戦的で知的なものでなければなりません。

 各チームは、新しいボードゲームの作成だけでなく、関連するパッケージ、手順、ピース、およびカードを設計する必要があります。

 そして、イベントの準決勝進出者はゲームをセットアップし、ゲームのプレイ方法を示し、ゲームの機能を説明するプレゼンテーション能力も必要とします。

 

 知的で新しいボードゲームを作り出すことは、かなりの創造性が必要です。それだけでなく、サイコロを振ってめぐるだけのボードゲームではないため、ゲームに知的要素を組み込む場合、数学や統計学などがゲーム作りに必要になります。

 各手順からくる選択の数だけ、勝利パターンが増えるため、確立が必要で、ゲームを繰り返し試すことで統計からくる勝利パターンの分析も行いながら、ゲーム性を高める改良も必要になってきます。

 

 新しく知的なボードゲームを開発するためには、今までにある知的なボードゲームを分析して、知的で新しい勝利パターンの創造が必要になります。

 自分では新しいパターンのボードゲームを開発してと思い込んでいても、今までにあるボードゲームの勝利パターンに近い内容であると、新しさに欠けるため競技大会で勝つことができません。

 そのためには、今までにある知的なボードゲームのパターンなどの分析能力も必要です。パソコンなどを駆使して、パターン分析を行う技術も、競技大会で勝つための重要な要素となります。


 STEM教育におけるボードゲームは、高度な知識や創造性が養われます。



◇様々な段階でボードゲームが「考える力」を育成

 幼児期、中学高校生と、様々な年齢にあわせた様々な理由で、ボードゲームがアメリカの教育に有益な効果を発揮してます。

 そして、同じゲームでもテレビゲームと最も異なる部分は、自分の正面にある情報の違いということも言われております。

 

 自分の正面にある情報の違いとは・・・


 人と対戦することは、テレビゲームにもある要素です。今の時代は、世界中の人とコミュニケーションしながらゲームを行えます。

 しかし、どれだけ多くの人が参加しても、プレイヤーは画面を向きます。

 文字や音声、映像など、得られる情報はモニターなどの画面によって縛られます。情報が拘束されているということです。


 ボードゲームは人と向き合います。


 そこから得られる情報は、肌感覚まで含め、人が脳内に情報を取り込める五感を最大限に活かせます。ここが、モニターに情報が拘束されているテレビゲームと大きく異なる点です。


 テレビ会議と実際対面する会議では、空気感含め情報入手量が違うことを体感されている方が多いかと思います。

 それと同じ内容です。

 空気感や間合いなど、モニターを通してでは伝わり難い部分が、伝わるのがボードゲームで、遊びといえ勝負の場では、五感というセンサーが敏感に働き、伝達をされに高めます。

 ボードゲームの最中の沈黙においても、センサーが敏感になり、沈黙の中での思考が働いていることを体感した経験があるのではないでしょうか。


 アメリカでは様々な知的ボードゲームが販売されてます。

 単純な要素でも、大人の頭が混乱するような知的なボードゲームが多数あります。


 ただ単純にみんなが楽しむといったものではなく、ビジネスセンスの育成や知育に有益なものと捉えられているため、そのようなボードゲームが本屋さんでも多数販売されています。

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カリフォルニア州に拠点を置くM-Cross International Corporation(MCIC)が、国際ビジネスを目指す方のために、アメリカ学校教育や、アメリカ起業家のマインドなど、アメリカで活躍するための思考や能力などの情報を発信するサイトです。

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